PowerPlatformで何ができるのか?できないのかを表で整理【活用事例付】
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PowerPlatformで何が出来るのか?活用方法が分かりません
「PowerPlatFormに属するアプリはどんなことができるのですか?」という質問をいただきました。
- 各アプリはそれぞれ何ができるの?
- 使い分けは?
- 事例があるとわかりやすいんですけど・・・
さらに会話を進めると本来のやりたいことが見えてきました。
結論としては「自分の仕事を改善したいがどのアプリをどこで使えば良いのか分からない」という事でした。
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実際は「使ってみないと伝わらない」というのが本音です。
しかし使うと言われても・・・何から手を付けたら良いのか分からない方が多い様です。
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専門用語が多く「使ってみよう」という気になれないんですよね。
自分の仕事に対しどのアプリを使えば良のいかイメージできないです。
これは一旦情報を整理した方が良さそうですね。そのあとで用意した事例に各アプリを当てはめてみましょう。
- まずは各アプリで「何ができるのか」、「何ができないのか」を表にする
- 各アプリを実際の仕事に置き換えるためのコツを理解する
- インプットした要素をもとに用意した事例に対し各アプリを当てはめる
各アプリのできる事/できない事を理解するのは当たり前で本当にやらないといけない事は別にあります。
本記事では自分の仕事に対してPowerPlatFormのアプリを当てはめる事ができるように勉強していきます。
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Microsoft365との関係からPowerPlatform(パワープラットフォーム)とは何か?を説明しています。
関連書籍
PowerPlatformはアプリケーション群の名前です。実際は複数のアプリケーションから構成されています。
入力フォームなどのアプリケーションの作成を担当するのはPowerAppsです。
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関連アプリケーション間の連携、自動化はPowerAutomateが担当しています。
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SharePoint完全解説と言って良いレベルの書籍です。この1冊でSharePointを理解することができます。
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PowerPlatformで何ができるのか/何ができないのか
各アプリを軸に「できること/できないこと」を書き出します。
表:3つのアプリケーションを軸にできること/できないことを整理
後でみていただく事例の中で使うアプリのできること/できない事を表にしてまとめました。
まずはイエローラインの3項目だけ覚えて記事を読み進めてください。
アプリケーション | できること | できないこと |
---|---|---|
PowerApps | 自力でアプリを作ることができる ExcelやSharePointとの連携 モバイルフレンドリー(携帯で見やすい) | 複雑なデータ処理が難しい 外部ネットワークへの公開 |
PowerAutomate | 操作の自動化 各種アプリとのコネクタによる情報展開 各種アプリのイベントをトリガーにする | コネクタが用意されてない作業 動作スピードが要求されるとき 操作対象のデータ量が多いとき |
SharePoint | チームサイト作成とカスタマイズ リストを使ったデータの共有 | チームサイトはデータ量に制限有 リストの行が多くなると使いにくい |
SharePointはPowerplatformに属するアプリと相性が良いので今回テーブルの中に入れています。
PowerBIとPowerPagesは今回は検討に含めないので除外しています。
参考:トリガーとは
PowerAutomateのできることの中に「トリガー」というキーワードがありますね。
よく分からない人が多いと思いますので説明します。まずは以下引用をご覧ください。
この中で「物事の起こるひきがね」というのがPowerAutomateのトリガーと近い意味合いを持ちます。
トリガー(trigger)とは、英語で引金の意味を持つ単語である。銃などを動作させるスイッチ。
転じて、物事の起こるひきがねの意味。
Wikipedia:トリガー より抜粋
かんたんな例を紹介します。ボタンへトリガーを仕込むとこうなります。
「ボタンを押すとトリガーが発動し作業完了のポップアップを表示」という具合です。
ボタンを押すというイベントをトリガーとして次のプログラムを動かすという考え方ですね。
各アプリケーションを実際の仕事に置き換えるためのコツ
これで各種アプリのできることが分かりました。次は改善対象の仕事に最適なアプリを当てはめます。
その時に使える考え方のコツがあるので紹介します。私は全ての事例をこの方法で考えています。
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自分では「店舗在庫理論」という呼び方をしています。
キーになるポイントに「店舗と在庫置き場」を置くという方法です。
このあとさらに詳しく説明します。(店舗在庫理論の名前の由来はこちら)
店舗在庫理論
店舗在庫理論をもう少し具体的に表現してみます。以下4ステップとなります。
改善したい仕事を決めたらまずは「無くすことができる仕事はないか」を考えます。
この時点で考えられるだけの思考範囲でよいのでまず無駄を削ります。
仕事を絞ったところで「店舗」、「在庫置き場」、「その他」というキーワードで層別します。
- 店舗:情報を入力させる場所(ここに情報を集めた方が良いと思える場所のこと)
- 在庫置き場:店舗で取得した情報をストックする場所。データベースのこと
- その他:店舗と在庫以外の場所
検討時は深く考えず「店舗」と「在庫置き場」だけ決めたらあとは「その他」で良いです。
「店舗」をPowerAppsで用意します。「在庫置き場」をSharePointで用意します。
在庫置き場となるデータベースに変化があった時にPowerAutomateを起動させます。
自分の代わりに動いてもらえるところを探してできる限り自動化を進めます。
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どんな依頼が来てもまずはこのフォーマットにはめてみましょう。
経験上これである程度アウトプットが見えてきます。
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テンプレートに当てはめるだけという考え方ならできるかも!
店舗在庫理論でネットショッピングの環境を構築してみる
事例に移る前に1回だけ練習をしてみます。店舗在庫理論を使ってみましょう。
例としてAmazonのようなインターネット型のショッピングサイトを自分で運営することを考えてみます。
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- 店舗:ショッピングサイト ・・・ PowerAppsで構築
- 在庫置き場:購入者情報DB(データベース) ・・・ SharePointで構築
- その他:購入時の自動返信メールなど ・・・ PowerAutomateで構築
用意した環境を構築できれば自身は商品発送や倉庫管理などバックヤードの業務に専念できますね。
大事なのは「全て自動化」できなくても良いです。できるところから取り組みましょう。次は本番です。
店舗在庫理論を使い用意した事例に対してPowerPlatFormの各種アプリを当てはめてみましょう。
事例
業務全般に問題を抱えている事例を用意しました。
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あなたはA株式会社の従業員です。a工場敷地内の備品倉庫で勤務という想定で記事を読み進めて下さい。
設定した要件はこちらです。
- 備品を依頼されるルートは倉庫事務所内の電話、各自の会社携帯×2名、メール、直接訪問の5種類
- a、b両方の工場の担当者から備品倉庫に依頼が入る(b工場への備品展開は原則定期便を使う)
- あなたを含めた2名が主になり備品倉庫を管理している
現状起きている問題(課題)はこちらです。
- 備品依頼ルートが5つあるので繁忙期は備品準備に抜け、忘れが出ていた
- 依頼者への備品引き渡し方法が不明確(b工場は都度確認が必要)
- 備品倉庫の担当者間で情報が共有できていない(互いの仕事を把握しきれていない)
この事例に対してPowerPlatformに属する各種アプリを駆使して問題を解決させます。
対策
ソリューションを提供します。早速結論です。問題点に対してアプリを割り当てました。
各種アプリのできることを忘れてしまった方はこちらから戻って表を確認してください。
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線を引いてアプリや仕事の流れを書くと頭の中が整理できますね。
できそうな気がしてきます。
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- 備品依頼ルートが5つあるので繁忙期は備品準備に抜け、忘れが出ていた:PowerApps
- 依頼者への備品引き渡し方法が不明確(b工場は都度確認が必要):PowerApps、PowerAutomate
- 備品倉庫の担当者間で情報が共有できていない(互いの仕事を把握しきれていない):SharePoint
問題No | アプリケーション | 対策 |
---|---|---|
1 | PowerApps | 備品管理アプリをつくり依頼経路を統一させる |
2 | PowerApps | アプリ入力時に備品の受け取り希望日時と方法を入力してもらう |
2 | PowerAutomate | SharePointのリストへの入力をトリガーとした依頼者への自動送信メールを用意 メールはOutlookを想定していますがTeams のチャットボットでもOK |
3 | SharePoint | PowerAppsで備品依頼者が入力した情報の受け皿を用意する 依頼の有無や備品準備状況を担当者の2人が各自で閲覧できるようにする |
次はなぜこのような仕様になったのかを店舗在庫理論を使って考えてみます。
店舗在庫理論で事例を考える
技術的な話に移ります。事例に店舗在庫理論をあてはめてみましょう。全体の流れをご覧ください。
前のブロックで提示した結論に至った理由が分かります。
依頼ルートが5つは多すぎます。経路は1本にしたいです。
特に電話での依頼は「言った言わない」がつきものです。絶対にやめたいです。
この時点で「備品の依頼をPowerAppsで受ける」というあたりをつけます。
環境調査後検討したうえでSTEP1での検討を考慮して以下の様に決めます。
- 店舗:各工場から備品依頼を入力してもらう為のアプリを備品倉庫で用意する
- 在庫置き場:備品依頼情報をストックする為のデータベースを備品倉庫で用意する
- その他:残り全て
- 「店舗」として依頼を入力してもらう為のアプリをPowerAppsで用意します。
- 備品の受け取り希望日時や方法もここで入力してもらう様にします。
- 「在庫置き場」として依頼者情報を管理する為にSharePointでDBを用意します。
- SharePointのリストを使います。
- アプリの操作画面を想定しながらリストの列を検討しましょう。
SharePointに情報が入力されたことをトリガーにしてPowerAutomateを動かします。
SharePointの情報から依頼者を特定し自動で確認メールを配信します。
依頼者がアプリ内に入力した受け取り希望日と現在の日時を比較して十分対応可能な条件を設定します。
依頼に無理がない日程なら希望日をそのまま回答、無理がある時は調整納期で回答するという考え方です。
その他
備品を手配し引き渡したあとにSharePointのステータスを完了にするというオペレーションを追加します。
これで備品手配の抜け、忘れも防止できます。あなたを含めた担当者間で情報共有が可能となります。
PowerPlatformで環境を構築した事による成果
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備品倉庫含め会社全体として考えても効率が上がったようです。
この環境を自作できるのがPowerPlatformの強みです。
備品依頼者、備品倉庫担当者の双方が良い方向に進みました。現場レベルで業務改善に成功した様です。
備品依頼者
依頼経路が減りましたが依頼のタイミングを気にする必要が無くなりかえって楽になった様です。
- 依頼ルート(経路)が1本になったので分かりやすい
- 受け取り希望日時がメールにより把握できる
- PowerAppsはモバイルフレンドリー仕様なので会社携帯がスマホならスマホからも依頼ができる
備品倉庫担当者:オペレーション面
備品倉庫で働く2人は各工場の担当者から直接依頼を受ける事は無くなりました。
- 依頼に対して備品を揃えたり依頼によって減った備品を発注するなどバックヤードに専念できる
- そうなると余力が生まれるのでトラブルなどの緊急時にも柔軟に対応することができる
大幅な工数削減が成功しリソースを生み出したようです。
備品倉庫担当者:データ面
SharePointに蓄積されたデータを出力してPowerBIでグラフ化することで定点管理も出来る様になります。
- 上司への報告が楽になる(報告の為に無駄な資料を作る時間も減る)
- 各アイテムの発注点の見直しができる(高い確度で安全在庫の数量を決めることができる)
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まとめ
PowerPlatformの各種アプリによる活用事例をみていただきました。
各アプリのできること/できないことを理解したうえで店舗在庫理論を用いれば仕事の改善も進みます。
まずはご自身の身近なところからPowerPlatformに関連するアプリに置き換えてみてください。
その行為がトレーニングになります。何らかの発見があればそれは必ずスキルアップつながりますよ。
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よりアウトプットをイメージできるようになりました。
自分の仕事でもアプリを使ってみる事にします。
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まずは考えて手を動かしてみることが一番です。
自社内のDX人材を目指して頑張りましょう。
余談:なぜ「店舗在庫理論」という名前なのか
なんで「店舗在庫理論」という名前にしたのかを説明します。
「コンビニエンスストア」をイメージしてこの名前を付けました。
コンビニエンスストアは業務効率化の模範例
コンビニは最低限のスペースで構成されており大まかに言うと「店舗」と「在庫置き場」しかないですよね。
それなのにここ数十年ずっと経営面で成長を続けています。という事は・・・真似するしかないと思いました。
もう少し具体的に言うと「自分たちの仕事でもこの環境を使えば業務効率化できるのでは?」と考えました。
この考え方から店舗(PowerApps)と在庫置き場(SharePoint)を置くという思考に至りました。
再度話をコンビニに戻します。
最近のコンビニではセルフレジやセルフ会計が導入されていますね。店舗と在庫以外の効率化が始まりました。
このコンビニの流れもPowerPlatformに置き換えて考えてみましょう。RPA化するという事ですね。
PowerAutomateがコンビニで言うところのセルフレジやセルフ会計の役割を果たしてくれそうです。
関係者への連絡や在庫数のチェックをしてアラートを出すなど店舗と在庫以外の効率化を目指す事ができます。
説明したような思考の積み重ねからコンビニの環境を表現するつもりで「店舗在庫理論」と名付けました。